ペテン師の恋

私は我に返り、ずっと彼を見つめていた自分が恥ずかしくなり目を反らした。



すると、反らした目線に彼の手が映された。



私は手の先を見つめ、再び彼を見ると、彼は優しく微笑んだ。



「立てる?」



私は戸惑いながらゆっくりその手に手をのばすと、彼から私の手をひっぱり立たせてくれた。



しかし、いろんなことがありすぎて足がちゃんと地につかず、彼の腕に受け止められていた。



意外に広い彼の腕の中に入った私は、彼のむせかえりそうになる香水に頭がグラついたが、何故だか安心してしまう。



いろんな男に抱かれてきたのに、何故こんなにこの人の腕の中は安心できるのだろう…