ペテン師の恋

「ひぃ~」と怯える山田の声、私は倒れ込んだまま顔をあげた。



ハットを被り、黒いスーツに身を包んでいる背の高い男が、山田の前に仁王立ちしている。



ハットをかぶっているため、顔はわからないが金髪の髪がみえていた。



こんな時間にスーツで金髪といえば、ホストか何かだろう。私は勝手に思い込んでいた。



「何おびえてるの?よっぽどお前の方が危ないとおもうけど?」



男は低い声で嘲笑うようにいい捨てると、しゃがみこみ、怯える山田の顔を掴んだ。



「さっさと、去りな」



山田は倒れ込みながらも足早に逃げていった。



そして、男は私に近づき、再び私の前にしゃがみ顔をのぞいてきた。



「大丈夫?」



男は私がみたことある男性の中でも怖いくらい整った顔をしていた。



夜のせいか蒼白く、目は透き通る茶色、ハーフなのだろうか。



私は彼から目が離せなかった。



どうしてだろう。