ペテン師の恋

グサッ…―――





鈍い音がした。






数秒…





私は目をつむっていたが、痛みはない。





私は恐る恐る目を開けると、ぼんやりと見えるのは、黒い背広……





そして、目線を上にあげる。






「……ッ!?」





その後ろ姿は、私の目の前で踞る。






私は、意識がはっきりしてきて、血の気が引き、倒れ込んだ背中に近寄った。






刺した本人の瑞希は、刺したナイフを落とし、血だらけのナイフが床を汚す。






「ギャーーーッ!!」






瑞希は、怯えたように叫び、頭を抱えて、その場にしゃがみこんだ。






私は、後ろ姿の背中に触れ、涙が視界をぼかす。






「朱………一………っ!?」