ペテン師の恋

山田は平山に目線を移し、拳を強く握りしめて叫びながら平山めがけて殴りかかってきた。



「キャー!!」



思わず私は叫び、平山から離れた。



平山もギリギリで避け、山田は勢い余って地面に倒れ込んだ。



私の叫び声を聞き、店からボーイのケイとママが走って出てきた。



「朱美!どうしたの?」



私は怯えながらママに抱きついた。ママはケイに「警察に連絡して」と小声で言い、ケイは頷いて店に戻った。



「朱美ちゃんに手をだすな…」



正気を失った山田は再び平山を睨んだ。平山は身の危険を感じ、走って逃げ去っていった。