ペテン師の恋

自分が壊れる…





それは私も一緒だよ。





私だって、始めは朱一の前ではいつもの自分が崩れていった。





ペースはいつも、朱一のペースに巻き込まれたと思っていたんだよ。





だけど、朱一も同じ気持ちだったんだよね?





自分がわからなくなるのは、本当の自分がやっと表にでようとしているから、仮面が勝手に剥がされていく。





それを私はやっと理解したよ。





「朱一、私もね、貴方と出逢ってから自分のバランスが崩れていったの。貴方の仕事の片付けを手伝ったとき、自分でも、あんなに自然に笑えたのは初めてだった」





朱一は何も反応してくれない。だけど、私は構わず話し続けた。







「でも、自分が解らなくなったとき、思い返してわかった。私は貴方が好きなの…。貴方は自然に私の中に入って、私のずっと被り続けていた仮面をはずして、本当の自分に出会わせてくれた」






そうでしょ?