ペテン師の恋

朱一は私から目をそらし、黙り込んだ。





「どうして、今話すの?傷つけるなら、最後までズタズタに傷つけてよ!それで、母の罪滅ぼしになるなら、私は耐えるわ」





ねぇ、お母さん





運命ってあるのかな?





私が貴女の幸せのために、手放したことは、正しかったのかな?





皮肉にも、貴女が愛した人と同じ血を引いた彼に、私は惹かれてしまった。









黙りこんでいた朱一は突然、車のエンジンをかけた。





「なんでだろうな…自分でも自分が解らない。君に会うと、自分が崩れるんだよ」






朱一はゆっくり車を走らせた。





「今日は、もう帰ろう」






ハンドルを握る朱一は、それ以上何も話してはくれなかった。