「う………そ………っ」
私は震える声で、そう聞き返すことしか出来なかった。
私の大好きな母が、朱一の父を奪ったなんて、信じたくない。
「芹澤美里…。君のお母さんじゃないか?」
芹澤美里…。
間違いない。
母の名だった。
「父親がどんな女を愛したかなんて興味はなかった。ただ、母を見捨てた。これだけは変わらぬ真実だから」
朱一の瞳は、本当に偽りを語る瞳ではなかった。
初めて見る、本当の朱一の素顔が、まさか、こんな告白だなんて、虚しすぎる。
「いつから、私を見つけていたの?」
「一年くらい前かな。顔も美里さん似だったし、すぐに分かったよ。その前にいろいろ調べているうちに、君があのクラブのママに引き取られていることも、人から聞いていてね。助かったよ。君が人気者で」
少し、笑ってみせたが、いつものようには、心を隠せないようだった。

