ペテン師の恋

朱一は抱きよせる力を強くすると、ゆっくり、体を離した。





見つめ合い、深く唇を重ねると、今までの口づけより激しく、お互いを求めた。





でも、愛情を感じるというよりは、複雑な気持ちを紛らわすような口づけだった。





しかし、朱一は途中でピタリと口づけを止めた。





「どうしたの?」





朱一は複雑な表情のまま、うつむいていた。





「朱一…?」





私が、朱一の頬に触れようと、手を伸ばすと、その手を朱一が握った。





そして、真っ直ぐ私を見つめた。





しっかりと、彼の瞳に私が映っていた。





私は、何もできず、何も言えず、ただ、固まったように朱一の瞳から目が離せなかった。