ピリピリとした雰囲気に、さすがの優香里もだまりこんでメイク直しをはじめた。



「はい!なんかシケタ雰囲気ね~、もうすぐ開店なのよ」



突然、ママが控え室に入ってきた。



いつでも、タイミングよく現れてくれる。さすが水商売のトップになった女だ。


ママは私の隣にきて、耳元でこういった。



「最近、顔出さない山田さんが店の前行ったり来たりしてたみたい」



「えっ?」



「まあ、気を付けなさいよ」



そう言ってママは気を取り直し、予定をみんなに話た。



私は嫌な予感がした。



山田からは最近連絡もない。



なのに、どうして?



私は不安を抱きながら、仕事を始めた。