でも、言われてみれば確かに、廊下をウロウロしていた女の子に声をかけた記憶がある。 『具合でも悪い?大丈夫?』 『……あの……体操着を忘れちゃって』 『体操着?あたしので良ければ貸すよ?待ってて、持ってきてあげる』 体操着を貸した翌日、綺麗に洗濯された体操着を返してもらった。 『ありがとう』 そう言って、柔らかい笑みを浮かべた女の子。 あの女の子……杏ちゃんだったんだ。