都内にある高級マンションの最上階に、僕の部屋はあった。


一人暮らしなのだが、最近はいつ帰っても由紗が先に部屋にいる。


ほとんど同棲しているような気分ではあった。



 鍵を開けようとしたとき、隣の部屋の扉が開いた。


「お、龍。今帰ったのか」両脇に美女を従えて出てきたのは、隣の部屋の住人、週間少年χ烈火63号
だった。


服の上からでもわかるほど、がっちりとした体格、スラリとした切れ長の目。


髪はなぜかピンクだが、イケメンだから許される。「彼女、部屋にきてるみたいだぞ」



「やっぱり?」僕は手に持っていた鍵をポケットに入れた。「烈火はこれから撮影?」



「ああ」烈火がニヤリと笑う。烈火は、今注目されている、若手映画監督だ。


監督デビュー作である『白身を見捨てないで』が大ヒットし、一流映画監督の仲間入りを果たした。「人気者は大変だな、お互いに」