学園祭、1日目。

1日目は主に屋台が賑わう。


「柊也!次、あっち行くぞ!」

「はいはい」


俺はなぜか凌久の世話係。

榊と鬼塚に「凌久が邪魔だからよろしく」と言われた。

どうやら明後日はめでたく凌久の誕生日なんだとか。

だから誕生日パーティの打ち合わせをするらしい。

当の本人はわかっていないからか「俺だけ抜け者か」と拗ねていたが…

屋台を回っていると機嫌はすぐに直った。

単純な奴だな。


「走り回って怪我して、ライブに出られなくなるとかなんなよ」

「なんねぇよっ!っておっと…!!」


言った直後に転けそうになる。

世話が焼ける……

目を離したら即迷子とかになりそうだ。


「はし巻き美味そう……」

「結構並んでるな」


凌久は「美味そう」と言ったまま、はし巻きの売られている屋台の前から動こうとしない。

食いたいのか。


「俺はここで待ってるから並んで買ってこいよ」

「…でもなぁ……並ぶのだるい」

「じゃあ食うな」

「食べたい」

「並べ」

「だるい」

「食うな」

「食べたい」


……わがまますぎる子どもだ。

こういうときは…


「神埼にお前に困らされたって言うからな。わがままな男は嫌われるぞ?」


…と、言えばいいと鬼塚が言っていた。

神埼に嫌われるのは相当嫌らしく、単純な凌久にはこれだけで


「それは嫌だ。ちゃんと並んでくるぞ!」


そう言っていうことを聞く。

わがままなんだか単純で素直なんだか……。