「あ、アシュリーじゃないですか」
屋敷の外へ出ると、教典を持ったリョクさんが歩いていた。
「あぁ…リョクさん。こんにちは」
力無く笑った我に、
「どうかしましたか?」
リョクさんは優しく言葉を掛けてくれる。
流石ライラの兄だ。面倒見が良いな。
「いや…お父上に、我の過去の記憶の差異について尋ねていました」
「…!!イーヴルマナク様の仕業じゃないと分かったからですか?」
少し驚いたような顔で、リョクさんはそう言う。
「はい。イーヴルマナクの仕業ではないのに何故、あのような光景を見たのか…不思議で、納得いかなくて…お父上なら、何か知っているかと思ったんです」
我は、グッと歯を噛み締めた。
「イーヴルマナク様を、信じるんですね」
優しい声色で、リョクさんが言う。


