「人に謝るのに他に何か方法あるか?」


「…」


いいのだろうか。


もう二度と会いたくないと思われていたとしても。


「会うのが嫌でも、ちゃんと会って言えよ。」


北条は俺の目の前に立った。


「会っていいと思いますか?」


「会わなきゃならないんだ。」


北条は本気でそう言った。


「そうじゃなきゃ、結局何も解決にならない。
謝ったから解決するとか、済んだ話になるわけじゃないけど、お互いずっと引きずる事になるし、きちんと謝るのは、相手への最低限の敬意を払う事だ。」


「最低限の敬意か。」


「こんな偉そうな事言ってるけど、その事に気付いたのは最近なんだ。
基本的な事のはずだけど、俺は忘れてた。」


「だから自分みたいな人間になるなって?」


「そういう事だ。」


北条は微笑んだ。


それが俺の背中を押してくれた。


「俺、今色々分かりました。」