それは、彼女にとって、さほど珍しい出来事ではなかった。

彼女の舞を見るため、遠方から、宿を取ってくる道楽者も、少なくないからだ。

「多分、あれは、貴族じゃないかのう・・・。

知り合いもおらんもんだから、ようも知らんが。

コートも、装身具や生地も、一目で良いものだとわかる、いで立ちだった。」

彼は、思い出しながら、彼等の様子を述べた。

「ふうん・・・。
金のある奴らは、暇なんだねぇ。
わざわざ、庶民の集まる場所まで来るんだから。」

木製の桶で、水を汲み上げ、集めた食器を洗い始める。

「今回は、どのくらい滞在するんだい?」

オリビアの反応が、イマイチだったため、話題を変え彼は問う。

「あと、2〜3日したら発つわ。」

手を動かしながら、彼女はいう。



本当は、
もう少し長いスパンで
考えていたが・・・

稼ぎは、十分じゃない。

村落へ戻ったところで、
直ぐに、旅にでなくちゃならない事は、目に見えている。

それでも、

そう予定を変更したのは


予感がしたから。