ヴェールを靡かせ、ヴァイスの前に姿を現し、激しい動きに変わった輪の中へ加わる。


水宮と違い、弦楽器より、打楽器が、リズムの中心となっているようで、一律された動きに目を奪われる。


総勢十数人の一糸乱れぬ動きに、観覧のモノから拍手がおこり、やがてそれは、大きな拍手と化す。

楽師のリズムが複雑化するにつれ、民衆も陶酔していく。


クライマックスの激しいリズムに合わせ、舞手が、立ち位置を著しく変化させる事に、ヴァイスですら、オリビアを見失ってしまった。


他宮の伝統を目にし、興味を引き付けられるうち、引き込まれていたようで、気付けば、彼女が一人、天を仰ぎたっていた。


曲にあわせ、オリビアが再び舞始める。


ヴォルハムン屈指の舞手。

その高い技術と完成された芸術に、民衆からため息が零れる。


テンポのはやさ、躍動感、圧巻する見事な動き。


言葉を失うとは、この事をいうのだろう。


覇王は、まばたき一つせず、みつめる。


火柱が、大きく吹上、
女の影を、あやかしの様に浮き立たせる。