客人を中央に迎え、ヴォルハムンの民衆も加わり、今では芸事に携わらないモノまで総動員で、火を囲む。


火客楽師による演奏と、歌い手に合わせ、知るものは、その唄を唱歌する。


不思議な空間が、
夜に溶け込んでいた。





ヴォルハムン

四大文明が溶け合った
文化をもつ土地。

民衆の声のエネルギーが、
暗闇の中、炎に浮かび上がる巨岩群と、炎が作り出す影と一種寒気がするほど溶け合っている。


歌を聞きながら、
感じながら、ヴァイスの瞳は、火柱を挟んだ向かい側に座禅を組む、オリビアにくぎづけになっていた。


オリビアは、神経を
集中させており、
それに気付くことはなかった。


火宮の衣装なんだろうか?
全身黒の衣装に身を包む。

オーガンジーのヴェールを被り、袖の長い、身体の線にそった黒いローブを召す。


目の前では、すでに火宮に伝わる太陽神の神話が披露されているが、男の視線は、オリビア一人に注がれていた。


舞踏家達と同じ衣装を身につけたオリビアは、静かにたちあがる。