一方、ジルから、成り行きを聞かされたオリビアは、彼の配慮に感謝し、演目の準備にとりかかる。

が、

その動きは、緩慢としたものだった。


ジルの言葉を受け、自分が水宮の王子に対し抱く、あらゆる感情を抑圧する立場にある事を理解した。

それも、どちらかといえば、姫君に向いての事。

ガイやレツの話からすると、従姉妹姫の変貌は、嫉妬だと思う。


もちろん、面白おかしく、噂が広がっているだけの可能性もあるが、事実がわからない今、矛先を集落に向ける事は避けたかった。

原因だって、本当のところ、自分にあるかも解らない。

手のうち様もなくて
ジルの判断は、実に、有り難かった。


最も


状況が許した所で

自分と、ヴァイスが
一緒にいることなんて
身分上、叶うはずがないのだ。



『貴方のものに、なることはない』


そういう意味も込めて
放った言葉だった。


理想に燃える、若き王子には納得がいかぬ様だが、人生というのは、たいてい、そういうモノだと知れた話なのだ。


でも