「では、覇王、問いをかえましょう。

アンジェラ姫君とは、いつ頃、ご成婚になるのか。

事実上、婚約者だとお聞きするが。」

「それは、間違った噂だな。
彼女にも、はっきり伝えているが、友や兄妹だといった感情意外に、なにも存在しえない。」


アンジェラ・・・

最近の動向が気にかかる。
時期が、自分がオリビアを見初めた頃合いと被るだけに、なおさらである。

早めに、ここも切り上げ、戻るべきだとは、百も承知の上なのだが。

本当は、隠しておきたい本件も、目の前の男は、すっかり調べあげた様である。

「姫君の様子が、変わられたと聞きますが。」

「ああ・・・。」

重く言葉が漏れた。


幼子が、運んでくれた果実酒を手に、答えにくい質疑に、ここへきた行為が、少々軽率だった事を反省した。


「覇王。」

ジルが、自分を呼ぶ。

「私は、オリビアの気持ちは聞いていない。

聞いたところで、オリビアが、本心を話す事もないと思う。

私の立場や、村の安全を一番に考えた答えを出す娘だから。」

彼は、一旦言葉をきった。