赤い岩肌の、獣道のような通路は、天然の形状を利用したものだ。

何千年と、彼等はここで、変わらぬ生活をしているのだろう。

前を歩く男につき、暫く歩き招かれた洞が、彼の住まいの様で、涼しく、薄暗い空間に、自分を囲う様に、数人が円座を組む。

「覇王。私は、このヴォルハムンを取り纏めている、ジルと申し、奥が妻のカレン、右から、青年頭のガイ、レツです。」

それぞれを紹介し、彼は自分を見つめ、本題に入る。

「早速ですが・・・
率直にお尋ねします。
何用でこられた?」


ここにいるもの達は、
自分の目的を知っている。

漠然と、彼は悟る。

ならば、建前など要らない。
愚かだと・・・
思われたって、構わない。

「オリビアに、会いたい。」
「何故?」

間伐置かぬ質疑に、言葉がつまった。

会いたいという思いだけで、ここへ来てしまった。

会ってどうするかなど、考えてはいなかった。


・・・誰かを想うなど、
初めてなのだから。


言葉を選ぶ様子を察したジルが、質問を変えた。