柔らかい唇を啄む。


溶けそうになる。
より深く求めた自分を
彼女は、制止した。


この喉元に、二本の指を添え、体を離し距離をとる。


『私は、あなたのモノに
なることはないわ。』

真っすぐに注がれる視線。

ちょっとイタズラな拒否。


打てば響く、周りの人間模様と
かくも離れていて。

なんて魅力的な女なんだと、
興味が、より深まる。


『酔興な。絶対手に入れてみせよう。オリビア。

俺が、狩猟の玄人だってことを、くれぐれも忘れずに待ってろ。』

これからの転回が、楽しみで笑みが浮かんだ。

去り行く女を暫く見つめたのち、踵を返す。


あの場で射止める事は簡単だった。

訳もない。


そうしなかったのは、
オリビアが警戒したからに過ぎない。