喉笛に、オンナの指の感覚が、まだ残っている。


サハールの街へ忍び出て、要約捜し当てた舞師。


その前夜に、自らの側近、右腕、悪友、様々な位置付けにある親友と、同じ宿場街に出向いた折、目にした女だった。


バーテンが、彼女の名がオリビアであることを教えてくれた時には、彼女を射止めると、決めていた。


ディックの制止なんて聞かず、翌朝早々に宮殿を抜け出し、その街へ、居場所を突き止めにゆく。

いくら小さな街だとはいっても、旅の女を探すのは至難の技で、やっと見つけたときは、夜も、そこそこ更けた頃になっていた。


彼女は、やはり前夜同様、演舞を披露していた。

何度みても、妖艶な肢体。

しなやかな衣装が、その動きをさらに美しく彩る。

他の誰にも見せたくなかった。

女が、踊り終え、目があった時に交わした笑み。

その黒い瞳にも、自分しか映してほしくない。

自らの手に入れると、再度、熱く切望した。