幼い頃


砂の無い大地は
存在しないと思っていた。

砂漠の中に、自然が作り出した天然の巨岩群が、ヴォルハムンの居住区となっており、オリビアは物心ついた時には、この地にいて、ここで育った。

この地の長を務める人物がジル。
オリビアは、彼の妹の娘だ。

両親は、彼女がまだ何もわからないような幼少の頃に亡くなっており、父親に関しては、誰であるかすら、わからない。

そんな状況であったため、ジルが養父であったとしても、住人が彼女を見る目は、甘いものではなかった。


全ての住人が、吟遊詩人・器楽・舞踊・芝居・・・他にも種目があると聞くが、何らかの芸事に従事している。
オリビアは、母やジルの妻にならい、舞踊を習得した。


そして、一人前になれば、母となった女・子供・老人を除いて、周辺諸国へ出向き、稼ぎをつくり、生計を立てる。

また、身寄りがなくなったもの等に対する福祉にも、その収益は当て込まれている。

そのため、たいていは、大々的なキャラバンで、長期にわたり旅をし、収入をあげる事が多い。