ジャンの店の客層からは、多くの稼ぎは・・・心付を期待できないのだ。

それを収入とする自分達のようなものには、死活問題で、今回の様に、短期滞在と成得てしまった場合、経済を圧迫する事になる。

そうなると、チップを期待できる店に移動する必要が、必然的に起こってくるのである。


「こんにちは。」

オリビアは、割と客足のある酒場の扉をくぐる。

「宿と、催事をお願いしたいのですが。」

彼女は、店番の女性に声をかけた。

女は顔をあげて、オリビアをみる。

「ああ。あんたかい。
ジャンの店にいた、舞手さんだね。いいよ。
宿とショバ代で、15カント。
ただし、他の部屋は、ご存知のとおりだけど。
どうだい?」

そう。
この宿は、裏では有名だが、女を斡旋している。
その騒音さえ、我慢すれば、オイシイ場所だ。

「それで、お願いします。」

了承の意志を伝え、とりあえず、今晩の仕事と布団を確保する。

一番奥の部屋を、今夜の宿に選ぶ。

夜更けは眠れないだろうから、せめて階段を昇降する音くらいからは、解放されたかった。