「まずい・・・時間が
なくなってきた。」


日中の買い出しが予定より押してしまい、皺寄せが来てしまった夕刻。

思わず声に出してつぶやく。

昨日も、買い物に時間をとられ、結局移動は叶わず、ジャンの厚意に甘え、延泊と演舞により収入を確保した。

だけど、今日という今日は、明日なんて日を当てになどできない。
明日の早朝には、街を発つ。

・・・本当は、今日
帰りたかったのだが・・。
この稼ぎじゃあ・・・ね。

オリビアは、太陽を見上げる。
あと数刻で、昼の刻は終わる。

この国境近くの宿場街では、市街地と違って安全に泊まれる宿が、非常に少ない。

しかも、料金もなるべく安くという条件が重なると、尚更、宿が限定される。

彼女は、旅支度にしては少ない荷物を担ぎ、次の宿を当たってみる。

ジャンの店は、他と比べると、安全で宿泊代も極めて良心的だ。
催事をするにも、相場より随分安価で、舞台を提供してくれる。

最高の条件の宿。
でも、一つ難点があるのだ。