「ああ・・・」

短めの空返事をして、彼は、その場に居続ける。

オリビアに心を馳せていた。


宮廷で、神舞などの神楽は幼少の時分より見て来たが、彼女の様に、ダイナミックに演舞する、舞師というのは、初めて目にした。

躍動感溢れる肉体と音楽と
我らの大地に伝わる伝統民謡

庶民の間には、伝統が誇り高く息づいている。

我が父が、完成させた法治国家など、この国に浸透しないような気分にすらなった。

保守的な民族ととらえる人間もいるのだろうが、民の熱気とパワーを肌で感じると、反感はせずとも、貴族の統治ゲームに表面上付き合ってくれているだけにみえてくる。

そして、その下で、
各々が、古来よりの生活を慎ましく送っているというような・・・

もちろん、その考え方も否定しない。

オリビアという女は、
活ける、太古からの生命活動の源のように感じるのだ。

人類の標本・・・的な。


本能の塊の様で
惹かれる事が押さえられない。