「ラ、ラファエル様、いつの間に?」
「君が憂いている間にだ。」
スッとひざを折り、私の前に座るラファエル。
背の高いラファエルから見上げられる機会などそうないためドキッと心臓が跳ねた。
「魔界に来た時から君の笑顔は見れないと思っていたが、最近はそれ以上に元気がない。」
アメジストの瞳も憂いを帯びた様な色に染まる。
そして、ラファエルは困ったような笑みを浮かべながら口を開いた。
「まだ…天界に帰りたいと言う気持ちは変わらないか?」
それは何度となく問われてきたこと。
寂しそうなアメジストの瞳を前にしてなんだか申し訳ない気持ちになるけれど、コクンと頷いた。
すると、やっぱりラファエルは難しい顔をして呟く。
「そうか……しょうがないな。」
何かを諦めたような、決意したようなラファエル。
私の頬に手を差し入れ、フッと柔らかく笑う。
「君のその憂い…明日には晴れることだろう。」
「え……?」
どういう意味……?
混乱する私にラファエルはただふわりと柔らかい笑みを浮かべた。
あれだけ天界には帰さないと言っていたラファエルがすんなり帰ることを許可するとは思えないし。
ラファエルの言葉の意味を考えながら明日を待つことにした。

