するとラファエルはフッと自嘲気味に笑って「ずるい質問だったね」と言う。
一瞬哀しみの色を映した瞳に、ギュッと胸が締め付けられた。
「けれどすまない……これだけは譲れない。」
まっすぐに向けられたアメジストと視線がぶつかる。
ラファエルも辛そうだった……
「君をまた失うなど俺には耐えられないんだ。」
そう言ってラファエルは私の身体をそっと抱き寄せる。
「私は貴方の“イヴ”じゃない…」
小さく呟いた言葉にアメジストが僅かに揺れる。
傷ついた―――――
何故かそう思った。
でも…だって…しょうがないじゃない…
私は貴方のことを知らないんだから。
「それでもいい。」
耳元でラファエルが呟く。
「だが…」と続く言葉とともに、抱きしめる腕の力が強くなる。
息が詰まりそうなほどに強く――――
「今は俺の傍にいてくれ……」
聞いているこちらの方が切なくなるような声でそう言うラファエルに、私はそれ以上何も言葉に出来なかった。

