「あの…友達が見えたから…」
ルーカスの問いに内心ドキリとしながら答える。
初めて会った時、ルーカスは私のことを憎しみに満ちた瞳で見ていた。
たぶんそれは4枚羽に関係があるのだと思う。
ラナは2枚羽の天使だから大丈夫よ…
それに嘘を言っても、後ろを見ればすぐに分かることだ。
しかし―――――
「は?どこにもいねーぞ。」
「え?」
訝しげな表情でそういったルーカスに思わず声が上がり、弾かれたように後ろを振り返る。
「うそ……」
行き止まりの路地裏に小さな声が響く。
ルーカスの言うとおり、そこにはただ壁だけがそびえ立ち、今までそこにいたはずのラナがいなかった。
なんで…今までそこにいたのに……
キョロキョロとラナの影がないか見渡していると、ルーカスが「そもそも…」と口を開く。