あれはまさか…と思った時には、もう駆けだしていた。
「イヴッ!?」
ルーカスに後ろから呼ばれるが、走り続ける。
だってあれは……
ハァハァと息を切らしながら、薄暗い路地の角を曲がる。
ちらりと何度も視界に入ったかと思えば、見えなくなるソレ。
息も絶え絶えとなり、何度目か分からない角を曲がった先に……
「ッ………!」
追っていたものが目に入った瞬間、息を飲む。
行き止まりのそこにいたのは…純白の二枚羽を持った者。
この魔界において純白の羽をもつ悪魔などおらず…
それは間違いなく天使だった。
「あの……」と、恐る恐る声をかける。
すると、その天使はゆっくりとこちらを振り返った。
そして、振り返った天使を目の当たりにして、再び息を飲んで驚愕した。

