「誰がダレた大人だ!お前たちの買い物に付き合わされて大変だったんだよッ!」
ルルの言葉が気に入らなかったようで、足元の袋を指しながら反論した。
驚いたことに魔界では、人間界のようにモノの売り買いがあり、袋の中身は、私やルルが買ったものでいっぱいだった。
今着ている服の替えや、魔界特有の珍しいモノ…とにかく袋いっぱいに買い込んだ。
「僕心配だな。こんな体力のないルーカスが魔王様の側近だなんて。」
にっこりと笑いながらも、どこか棘のある言葉は本当にこの小さな子供から出た言葉だろうかと驚く。
ヒクッとルーカスの口角が痙攣し、こめかみに青筋がうっすらと浮かぶ。
「本当に魔王様をお守りすることができるの?」
次々と出てくる言葉に、もともと気の長くないルーカスの堪忍袋の緒が切れた。
「余計なお世話だッ!大体な、ルシファー様はご自分の身はご自分でお守りになる。」
「じゃぁルーカスは役立たずじゃないか。」
「そうだな…って、違うだろ!」
咄嗟に否定したルーカスは「俺はだな…」と、ルルに向かって切々と側近としての役割を説き始めた。
その光景にふふっ…と思わず微笑む。
ルーカスとルルはこれで仲が良いのだ。
見るからに歳も離れているのに面白いくらいにテンポが同じ。
そんな光景をただ楽しみながら見守っていれば、ふと視界に映ったあるモノ。
「え……」
弾かれたように視線を向けば、ソレは路地に消えて行った。

