孤高の天使




人通りの少ない城下裏道――――



「あー楽しかった!」


疲れを知らない子供はまだ遊び足りない様子。

それを見るルーカスはげっそりとしている。


それもそのはず。

あれからルルを先頭にして城下へ行き、いたるところを案内してもらった。

暗くうっそうとしている迷いの森とは対照的に、緑の生い茂る森の上を飛び。

城下ではフェンリルが目立ってしまうので皆羽を隠し足で動いた。

ルルは子供だからか体力はあったけど、ルーカスは日常に歩くということがないため疲れ切っている様子。




「イヴお姉ちゃん疲れてない?」


クルッと丸いエメラルドグリーンの瞳が下から覗く。



「えぇ、大丈夫。心配してくれてありがとう。」


私は普段から歩くことが多いから、このくらい平気。

けれど魔界の空気を吸いながら天界にいるころと同じように動けているのはこの指輪のおかげかしら…

左手の薬指にはめられた銀色の指輪を見て思う。






「イヴお姉ちゃんは体力あるんだね。あそこのダレた大人とは大違いだよ。」


呆れ気味のルルの視線の先には、ベンチに寄りかかって座るルーカス。