お願い!と連呼するルル。
「イヴ…どうする?」
ルーカスがこう聞くということは、ルルに案内させてもよいと思っているのだろう。
「えっと…じゃぁお願いします。」
「わーい!イヴお姉ちゃん大好きっ!」
遠慮がちにほほ笑めば、ギュっと抱き着かれた。
ルルの背でパタパタと二枚の黒い羽が揺れている。
今日会ったばかりで信用するのは危険だけど、ルルがルーカスの友人だというのは間違いなさそうだし。
私のことを天使だと見抜いているそぶりもない。
「絶対にはしゃぐなよ!」
「くどいよルーカスっ!」
ルーカスも目を光らせてくれているみたいだし大丈夫だろう。
「イヴお姉ちゃん、ルーカスなんてほっといて行こう。」
「ちょっと待って!」
私の手を引いて今にも飛び立ちそうなルルを呼び止める。
ここは小高い丘。
一歩先は崖だ。
飛ばずに城下に行くことはまず無理だろう。
「あ、あの…あまり目立ちたくないからフェンリルに乗って行くわ。」
ドクン…ドクン…と嫌な汗をかきながら反応を待つ。
不自然な言い訳じゃなかったわよね…と自分に問いかける。

