少年の反応を静かに待っていれば……
パンッと手を打ち、にっこりと笑顔を見せた。
「そうだったんだ!貴族なのに働くなんて偉いねー僕なら一生働かずに暮らすのに。」
クスクスと笑う少年を見てほっと安堵する。
咄嗟の嘘と演技を信じてくれてよかった。
ルーカスも一安心しているようだ。
しかし―――――――
「そうだ!一度も城下に来たことがないなら、今日は僕たちが城下を隅から隅まで案内してあげるよ!」
「ダメだ!」
いいことを思いついたとばかりに目をキラキラとさせるルルに、すかさずルーカスの否定の言葉が割って入る。
ルルと私はルーカスの声の大きさにビクっと反応して固まる。
びっくりしたけど…ルーカスは私をあまり目立たせないようにしたいのだということがすぐに分かった。
けれど、何の理由もなく否定の言葉を浴びせられたルルはぷくっと頬を膨らませ、不満げに眉を寄せた。
「何で?城下に遊びに来たんでしょう?」
尤もな疑問をぶつけられ、ルーカスは一瞬言葉に詰まったが…
「あ、あれだ。イヴはお忍びで来てんだ。お前がはしゃぐと目立つだろ?」
「えー僕はしゃがないよ。目立たないように案内するから!」
若干苦しい言い訳だったが、ルルは騙せたようだ。

