孤高の天使




一方のルーカスはというと――――



「う…1週間に1回……いや、そんなに城を離れるわけには……」


などとブツブツ呟いていた。

迷いを見せるルーカスに少年はワっと顔を覆い、涙声で叫ぶ。




「やっぱり僕のことはどうでもいいんだ。」

「分かった分かった!分かったから泣くな!」


涙の入り混じった声で叫ばれたルーカスがついに折れる。

どうやら涙には弱いらしい。




しかし―――――――


今までうつむいていた少年がパっと顔を上げ…





「わーい!じゃぁ1週間に1回帰ってこなかったらペナルティーだからね。」

「は……?」



顔を上げた少年の頬には涙一粒も流れてはいなかった。

キャッキャと嬉しそうに手をたたく姿はまさに小悪魔。

そんな小悪魔の策略にはまったルーカスは、間抜けにも呆然としていた。

またか…と呟くルーカスに、この手を使われたのは今日だけでないことが分かる。

なんだか微笑ましい光景にふわりと笑みがこぼれるが、ところで…と言いながら少年がこちらを向き、ドキリと心臓が跳ねた。




「ルーカス、あの子は誰?」


くるりと振り替えた少年の瞳は綺麗なエメラルドグリーンだった。