ストンッ……―――――
長い長い空の旅が終わり、人けのない城下に降り立つ。
「ふぅ……」
「イヴ」
一息ついたところで、後ろからガッと肩を掴まれる。
「きゃぁッ!」
「わッ!なんだよ大きな声出して。」
ビクッと背筋をただし、後ろを向けば同じく驚いた表情をしたルーカスがいた。
緊張の糸が解けた時にいきなり声をかけられて、心臓はバクバクと煩い。
「ごめんなさい、少し驚いて……」
フェンリルがかがんでくれ、地面に足をつく。
「あそこが城下?」
ルーカスも降りてきて、眼下の景色を見渡した。
「あぁそうだ。どうだ?魔界の城下は。」
「思っていたよりは普通…です。天界とは少し違うけれど、あまり変わりないというか……」
今自分たちが立つ小高い丘から見える城下。
淡いクリーム色の家らしき建物が立ち並ぶ城下は、宙に浮いている城と悪魔貴族の居住区の周りをドーナツ状に囲むようにして立ち並んでいた。
周囲を見渡していると、ふとあることに気が付く。
「空が青い……?」
降りてくるときは気が張りつめていて気付かなかったけれど。
城下には綺麗な青空があった。

