だって…本で見た悪魔は狡猾で残虐で冷酷で。
人間や天使を陥れようとする生き物だとされていた。
魔王であるラファエルが何故か私に対して優しいのは置いておいて。
全ての悪魔がラファエルのように接してくれるとは限らない。
出来るなら行きたくなかった。
拒否を示す私に、ラファエルは何も言わず首から下げたものを掴む。
胸元にしまっていたそれをブチッと引き千切り私に差し出す。
「これを持って行きなさい。」
ラファエルの手に握られたものを受け取るため、両手を差し出す。
ストンッ…と落ちてきたのは……
「指輪……?」
月夜で銀色に輝くそれは小さな指輪。
よく見るとラファエルの指にもそれと同じデザインの指輪がはめられていた。
「お守りだ。」
そう言って私の手を取り、指にはめるラファエル。
ピッタリ………
驚いたことにその指輪は私の指にピッタリだった。