「そんなことお前が心配する必要などない。イヴは俺が守る。」
バサッと六枚羽が広がる。
ぐっと私を抱く力を強めたラファエルに、アメリアの綺麗な眉が歪む。
「その女の事は愛しているというのですか?」
「愚問だろう?」
悔しそうなアメリアに、妖艶な笑みを浮かべたかと思えば…
「きゃッ……」
くるりと体を反転させられ、勢いよくラファエルの胸へ飛び込む。
片方の手で腰を抱えられ、もう一方の手が首筋に添えられた。
ゆっくりと近づくラファエルの顔。
首筋に吐息がかかり、ビクッと身体を揺らせばラファエルがぴたりと止まる。
そして……―――――
「俺が愛するのはイヴただ一人だけだ。」
「ッ……!」
前を見据え視線はアメリアに。
言の葉は私の耳元で囁かれた。
低く甘く響いたその言葉に、言い知れぬ感覚が体中を駆け巡った。
ぼうっと痺れたように体から力が抜ける。
「分かったのなら去れ。」
ちらりと後ろを振り返れば、アメリアの悔しそうな顔。
愛しさ余って憎さが増すとはまさにこのことだろう。
自分をあっさり捨てたラファエルに対してか。
愛する人を横から奪った“イヴ”に対してか。

