魔王という地位。
ううん…地位がなくとも、この容姿なら言い寄ってくる人も後を絶たないだろう。
次から次に来る縁談話にうんざりして、アメリアさんを選んだ。
それを悪びれもせず笑って話すラファエルは酷いと思った。
けど何故だろう……心の奥底でほっとしている自分がいたの。
そんな自分に戸惑い、そして嫌悪した。
「お前の家は公爵家だからな。皆を納得させるためにちょうど良かった。」
「その女はどんな地位を持っているというのです。聞けば孤児というじゃありませんか。そんな女はルシファー様にふさわしくありませんわ!」
美女が怒ると迫力がある。
この修羅場に居合わせながら、何とも能天気な感想を抱いていた。
「端からイヴに地位など求めていない。このことを言い回るのなら好きにしろ。だが、それがお前にとってどう働くか考えるんだな。」
えっと……ラファエル様、それは困ります。
……とはとてもじゃないが言えなかった。
ラファエルとアメリアの放つ雰囲気がそうさせなかった。
「いいんですか?私が貴方と別れたと知ったら、その女が標的にされますよ?私と違って何の後ろ盾もありませんし、どうなるんでしょうね。」
フフッと綺麗な顔が歪む。

