私を敵とみなしたアメリアは動揺した?とばかりに笑みを深める。
けれど、アメリアの言葉に反応したのはラファエルだった。
「形だけの許嫁が笑わせるな。この城への出入りを許しているのは、煩い貴族どもの口を塞ぐためだ。」
喉の奥で笑い、獰猛な笑みを浮かべるラファエル。
「毎日我が物顔でここへ来ているお前には分からない…か。」
この言葉に、アメリアの顔がカッと赤くなる。
いかにもプライドが高そうな彼女には耐えられない屈辱なのだ。
しかも、ラファエルはそのことを知っている。
「俺はお前を利用したんだ。」
ゆっくりと。
言い聞かせるようにそう言うラファエル。
一方のアメリアは話の筋を理解していない様子。
「利用?」
「あぁ。最初は自分の娘を寄越し、魔王との繋がりを持ちたい貴族どもを消してやろうかと思っていたが。言い寄ってくる女たちと一線を引くためには嘘でも話に乗っておこうと思った。」
そういうこと……
つまりラファエル様は、自分によって来る女の人を寄せ付けないためアメリアさんを利用したのだ。

