孤高の天使




当然まだ怖がっている者や遠巻きにしている者はいるが、神のおかげでそれも少なくなった。

そればかりか、天界を救ってくれたルーカスたち悪魔を英雄視するようになり、特にルーカスが天界に来ると天使たちが色めき立つのだ。




「ルーカスはモテモテだもんね」

「本当に振り向いてほしい奴には全然相手にしてもらえてないけどな」


こうしてからかうといつも「煩い」と返ってくるのだが、今日はいつもと違った。

哀愁を帯びたような表情をするルーカスが少しだけ心配になったが、今のルーカスならその人にもいずれ振り向いてくれるだろう。




「まだまだ男に磨きをかけないといけないってことね」

「そういうことにしとく」


励ますつもりで投げかけた言葉にルーカスは長い溜息を吐いてそう言った。





「そろそろ行こう。もうすぐ皆集まる頃だ」

「ラファエル様、また明日」


ルーカスの提案に頷き、ラファエルに別れを告げて踵を返す。

背を低くして待つラバルに乗ろうとした時、後ろで僅かに音がした。




パラ…――――

息を飲み、勢いよく振り返るがラファエルに変化はない。

よく見てみると地面に私が添えた花とラファエルの体に巻かれていた弦が一本落ちていた。
枯れてしまったのだろうか。





「イヴ?どうした?」


既に空に上がっていたルーカスはなかなか来ない私を訝って声をかける。




「ううん、なんでもない」


大きな声でそう答えてラバルの背に乗り、ラファエルが眠る聖なる母樹を後にした。