孤高の天使




「六枚羽の天使なんて神とお前しか知らない」


感嘆したような声のルーカスに苦笑しながら応える。



「私の六枚羽は見かけだけ。聖力は空っぽだから」

「やっぱり神に聖力を渡したって本当だったんだな」

「うん…私はやっぱり神にはふさわしくないと思うし、神様なら私の力を上手く使ってくれると思ったから託したの」


ミカエルによって封じられていた聖力が完全に戻った時、私は六枚羽の天使となった。

そして、聖なる母樹の花が散り、神の命も短いと言われていた10年前、神様は数百年前に決められていた通り、私に神の座を引き継ぐと言った。

けれど、その時の私にとって神になることなど考えられなくて、全ての生きとし生けるものたちを平等に愛することなど出来なかった。

未熟な私が神になどなれないと思ったからこそ、私はミカエルによって封じられていた聖力を神に渡したのだ。

これは私の癒しの能力があるからこそできるものであり、私の聖力は元々神から受けたものであったため、神は受け取った聖力に順応し力を取り戻した。





「空っぽになるほどあげて大丈夫なのかよ」

「空っぽって言っても生命を維持するほどの聖力は残したし、私はこれだけあればいい。また“飛べない天使”になっちゃったけどね」

「ま、お前にはラバルがいるしな」


神が力を取り戻して以来、聖なる母樹の花も再び咲き誇り、世界の危機は脱したが、代わりに私の聖力はほとんどなくなり、六枚羽にもかかわらず並みの天使と変わりないという以前の私に戻ってしまった。

といっても前みたいに“飛べない天使”などと揶揄されることもなくなったし、ルーカスが言う通りラバルがいるから移動にも困っていない。