最初は自分たちの復讐の相手がアザエルだったことが信じられず、神への復讐心が治まらなかった堕天使たちが多くいた。

しかし、暴動が起きる度にルーカスは説得を繰り返し、堕天使たちは次第にルーカスを信じ、慕うようになった。

ルーカスはありのままを何回も伝えただけだなんていうけど、神の恩恵により天界に戻っても良いと言われている堕天使たちが今も魔界で暮らすのはルーカスを慕ってのことだと思う。





「ルーカスも頑張ってるんだね。ルーカスだけじゃなくてイリスもリリスも、神様も。皆が頑張ってるのに私は何にも変われてない気がする」


皆に置いてけぼりにされている様な寂しさで自嘲的になる私にルーカスは短く溜息を吐く。




「変わる必要ないだろ。俺だって魔王だと言われてるけど中身は何にも変わっちゃいない。今でもイリスとリリスに小言は言われるわ、ルルには遊ばれるわ、フェンリルには魔力勝負で負けるわで何にも変わってないぞ?」


何を自慢するわけでもなくルーカスは自らを昔と変わらないと言う。




「けどその羽」

「羽?あぁ、この四枚羽か?四枚羽なんて珍しくないだろ」


指差したのはルーカスの背にある四枚羽だった。

四枚羽を有しているのは一握りの存在だけであり、十分珍しい。

元が二枚羽だったルーカスが四枚羽になれたのはルーカスの並大抵ならぬ努力の結果だ。





「四枚羽が珍しいなら、お前のそれの方が珍しいだろ」


ルーカスに指差されて、あぁと思い出し、羽を具現化する。

光の粒子が集まって現れたのは純白の六枚羽。