「イヴ…よく聞くんだ」

「いや…そんな最期みたいなこと言わないで」


やっと聞いた声が紡いだのは覚悟を決めたような言葉で、希望が灯った胸の内も一瞬で悲しみに満ちる。




「イヴ…」

「私を独りぼっちにしないで。私も連れて行って……」



「イヴ」


感情のままに泣き言を並べる私に、ラファエルから少し強い声が返ってくる。

私の目をしっかりと見据えるアメジストに最期の時を感じて口を結ぶ。




「俺は必ず戻ってくる。だから今度は君が待っていてくれ」


ラファエルは力強くそう断言した。

一番辛いのはラファエルなのに、そんなことを言われたらもう泣き言なんて言えない。




「私のこと…忘れないで……ラファエル様」


今にも口から出てきそうな叫びを飲み込んで、震える声で応えた。

すると、ラファエルは私の頬に流れる涙を拭い、困ったように笑った。





「忘れるはずがないだろう?こんなにも愛しているのに」


ラファエルの言葉にハッと息を飲んで、更に口を強く結んだ。

“私も愛してる”と言いたい。

けど、これを最後の言葉にさせたくなかったから、またラファエルは目を覚ましてくれると信じたいからこそ何も応えなかった。