孤高の天使



「暴走した魔王様を殺めるのは一苦労だと前回の経験から学びましたからね。抵抗されない程度に弱らせておくのも必要だと思いまして」

「お前が俺を?天使どもを使って聖剣を握る度胸もないお前がか?笑わせるな」


先ほど頬を切られたというのにラファエルは尚もアザエルを挑発するような言葉を口にする。




「そこまで言われてしまうとお相手をしないわけにはいきませんね」


アザエルは剣を持ち直し、ラファエルから距離を取る。

そして、未だラファエルの頬に流れる血を見て目を細めた。





「普通に剣を交えても貴方には敵いませんが、今の状態なら私にも勝ち目がありそうです」


確かに、ラファエルならあのくらいの傷すぐに癒えるはずだ。

天界の浄化作用で魔力が十分に回復できていないのだろうけど、小さな切傷ひとつ癒えないなんて…




「貴方たち、魔王様の拘束を解きなさい」


アザエルはラファエルを拘束しているガブリエルとウリエルにそう命じる。

ゆっくりと離される二人の手を強引に振り払うラファエルはアザエルを睨むように正面から見据えた。

ラファエルの視線を笑って受け止めるアザエルはラファエルに向かって何かを投げる。

宙を舞うそれを受け取ったラファエルの手には剣が握られていた。




「それは人間界で拾ってきた剣です。聖剣でやりあっては今の我々では身が持ちませんからね」


そういってアザエルも同じ剣をマントの下から取り出した。

ガブリエルとウリエル、フェイト、オリービア、オリウスが邪魔にならない程度に距離を取り、アザエルとラファエルを囲うように円を組んだ。

普段は天使たちの声に満ちている居住区にピリピリとした静けさが広がる。

剣を握ったアザエルとラファエルが姿勢を低くして構える。