孤高の天使



意識を取り戻したラナが一瞬でこの状況を理解してくれるかどうかは分からない。

だけどラファエルが捉えられている今、私に残された選択肢はラナの力を借りてこの状況を打開させるのみ。



「前世の貴方の力は私の目から見ても逸脱していました」

『ラナ、見ての通り今は非常事態なの。貴方は今私たちの目の前にいるアザエルという悪魔に操られているという状況ということになっているからそれらしい振りをして聞いて』


昔話を始めたアザエルの言葉の裏でラナに呼びかける。

ラナは私の言葉に応える代わりに私を掴む手をギュッと握った。




『天界はアザエルによって危機に立たされている。天界が闇に飲まれそうになっているのも、私が捉えられているのもルシファーの闇の力を利用して天界を支配しようとするアザエル様の陰謀なの』


こんな短い言葉で全てが伝えられるわけがない。

ラナにとっては今までラファエルこそが天使と相対する存在だと位置づけていた者なのだ。

それを実は裏で糸を引いていたのはアザエルで、ラファエルは陥れられただけなのだと言われてもはいそうですかと信じることは出来ないだろう。




『ルシファーの闇は私が殺されることによって更に広がるわ。そして闇は天界を飲み込む。それこそがアザエルの狙い…』





「天使の中でも一際清らかで純粋。そんな貴方が癒しの能力を授かったのは必然だったのでしょうね」


私の腕を掴むラナの手が少し緩んだ。

心に呼びかける私の声と耳に届くアザエルの声に混乱していることが窺える。