孤高の天使



「イヴ…まさか力が戻っているのか?」


ラファエルが驚いた様子で私を見る。

私はラファエルの瞳がいつものアメジストであることを確認してほっと安堵した。

肩の力が抜け、重力のままに肩を落とすと、私を拘束するラナの腕が弱まっていることに気付く。

不意に後ろを振り返れば、ラナは僅かに口を動かして何かを発しようとしていた。

動きが止まったのはラナだけではない。

ガブリエルやウリエル、大天使候補の天使たちも焦点の定まらない視線はそのままだが体は僅かに意思を持って動いている。




「そういえば貴方の本来の能力は“癒し”でしたね」


パチンとアザエルが指を鳴らす。

すると僅かに正気を取り戻しつつあった大天使たちがアザエルに操られる様にして動き始める。

しかし、ラナだけは違った。




「イ…ヴ……」


背後から耳に届いた小さな声にハッとするも、アザエルに悟られまいと表情には出さなかった。



『ラナ!正気を取り戻したのね』


ラナの頭に直接呼びかけると、ラナは私の体を拘束する力を弱めて小さく頷いた。

これも私の本来の力である癒しの能力のおかげだろうか、一番近くにいたラナには効いているようだった。

効いているといってもまだ自由に体を動かすことは叶わない様で、アザエルの呪縛から逃れようと歯を食いしばって体を縛るものから逃れようとしていた。