孤高の天使




「貴方にこれを見せるのは二度目ですね。まぁあの時の貴方は怒りに囚われて気づいていなかったようですが」


含みのあるアザエルの話し方にラファエルは訝しげに眉を寄せ、暫く考えた後ハッと息を飲む。



「ッ……まさかあの時の魔剣もお前だというのか」


息を吐き出すようにゆっくりと口にしたその言葉は僅かに震えていた。

呆然と、しかし怒りを孕んだアメジストの瞳がアザエルを見据える。




「えぇ、そうです」


アザエルはラファエルの神経を逆撫でするかのように笑い、肯定した。




「私の“操る能力”は物体にも働くんですよ。まぁ物体はこちらから働きかけても応えてくれないので質量の小さい個体しか操れませんけどね」

「イヴを殺したのはお前か…」


ラファエルの怒りが闇となりドクンと心臓が大きく躍動するように膨れ上がる。





ッ……いけない…このままではまた闇を生み出してしまう。


今はまだ理性でコントロール出来ているけれど、いつ枷が外れるか分からないほど空気が張りつめている。



「誤解しないでいただきたいですね。イヴは自分で死を選んだんですから」


その言葉にラファエルの目がカッと見開かれた。





『ラファエル様だめッ!』


ラファエルの怒りと共にブワっと大気に溢れた闇が霧散するように弱まり、宙を浮遊する。

心の中で叫んだ声が届いたことは、驚きに見開かれたアメジストが物語っている。