ラファエルの視線を追って後ろを振り返れば、荒廃して剥き出しになった地面の上に光の輪が現れ、それはたちまち大きな円となった。
そして、その円が完成した時、底からせり上がるようにして光の塊が現れる。
パァッ…―――
一瞬強い光を放ち、その光の粒子が集まり象っていく。
足元から腰、胸、首、そして最後に黒い四枚羽が現れた。
「そんな……」
「追いつきましたよ」
呆然と呟いた私の声に、ニヤリと口の端を持ち上げて笑う悪魔。
私たちの目の前に現れたのは数キロ離れたところにいるはずのアザエルだった。
こんなにも早く追いつかれるなんて…
あの様子だともう少しは時間を稼げると思っていたのに。
やはり魔界で権力を誇っていた悪魔だけあって、回復力も並大抵のものではない。
不敵に笑うアザエルに言い知れぬ恐怖を抱いていると、ラファエルが背にかばうように私の前へ出た。
「アザエル」
底冷えのするような声は普段のラファエルからは考えられない程低く響いた。
「暫くぶりです、魔王様。お疲れの様子ですね」
「何故お前がここにいる。魔界にいるよう命じたはずだが?」
嘲けた様子のアザエルにラファエルは警戒を強める。
このタイミングと私の表情で、アザエルがただ応援に天界に来たわけではないことくらいラファエルも気づいているはずだ。
「魔界はつまらなくてね。あそこは貴方が来てから平和になりすぎた。私が欲しているのは混沌と争いなんですよ」

