『もういい!私が奴にとどめを刺す』
アザエルの力で天使を操ることが出来ないと分かるやいなや自身の腰に下げていた聖剣を抜くミカエル。
再び緊張が走った時だった――――
「イヴッ!」
緊迫した空気の中、大きく響くルーカスの声。
振り返ればルーカスの前には人ひとり入るくらいの円形の術式ができていた。
その術式を見てすぐにそれが何か分かった。
「待てッ!」
ルーカスに向かって走り出した私に向かって叫ぶアザエル。
アザエルにもあの円陣が何かわかっているのだろう。
おそらくアザエルは私の後を追っている。
けれど、振り返るわけにはいかない。
大量の魔力を消費してあれをつくってくれたルーカスとフェンリルのためにも。
そして、自分自身のためにも。
それが例えどんな結果をもたらすものであっても。
迷いは無かった―――――
持てる限りの聖力を振り絞り、羽を動かす。
そしてあともう少しでたどり着くという時。
ドンッ…―――――
「くッ…!」
「イヴッ!」
背中を大きな衝撃が襲った。
衝撃が加わった背から体中に痛みが駆け巡り、胸を圧迫するような苦しみに息を詰まらせる。

